「女子と本気勝負!」
Text by 薮平
女子ドッチボールチーム プラネッツ
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10年以上前に確か12チャンネル系だったと思いますが、ジャニーズの
まだあまり売れていない若手男性アイドルが出演する番組がありました。
そのコーナーの一つに、視聴者から公募で女子ドッチボールチームをつく
ろうという趣向があり、そのコンセプトは「強くて可愛い」というもの
でした。スポーツが得意でかつ可愛い女子高生、女子中学生が集められ、
オーディションの結果、20人程のチームができました。
TVの趣向という事もあって、筋肉質やゴリラのような女子は排除され、
可愛く、プロポーションも良い女の子たちでした。
[可愛いコを集めたことは嬉しいが、実力は伴わないだろうな。]
ユニフォームが可愛く、チアガールのような赤いミニスカートだった事、
ドッチボールに夢中になる彼女たちはしばしば、真っ白なパンツ
(たぶんアンスコとは思いますが)を拝ませてくれた事、そして視聴者サービス
なのか、最後に一番活躍した女の子を胴上げするというのがあって、
その際パンツが丸見えになる事、などなど私を夢中にさせる企画でした。
[こんな彼女たちが男と対戦して勝ったらすごいな。]

最初の何週かは練習編で、基礎練習から戦術まで。もともと運動神経抜群
の彼女たちですから、どんどんうまくなっていくようでした。
 そして、試合をしてみようという事になり、小学生や女子チームとの対戦
が組まれました。1回の放送で1試合の割で、さすがに試合経験
のない彼女たちは確か3連敗くらいしていました。
そして4試合めくらいに、女子チームに念願の初勝利。
勝利の瞬間、歓喜する彼女たちが印象的でした。
それから何週かするうち、プラネッツの実力はかなり上がり、相手が女子
や小学生チームならだいたい勝つようになりました。
[男との対戦はないのかな?]
 
そして、ついに男子との対戦が組まれました。
その番組のレギュラーである、ジャニース若手(現在では某大物グループ
となっています)メンバーからなる男子チームとの対戦です。
きっとメンバーの誰かが「胸を貸してやる」みたいな大きな事を言って実現したのでしょう。
 
これは、特別企画であり、試合には彼らのファンの女の子百人以上が招待
され、試合の後にミニコンサートも企画されていたようです。
 
ジャニーズ男子チームの練習風景が映し出されました。
[TVカメラの手前、女子との試合するための練習を本気ととられたくない]
[ドッチボールみたいな単純なゲームで、女子に負ける訳がない]
というムードが見て取られ、皆余裕の笑みを浮かべていました。
 
試合が始まりました。
そしてすぐに、ジャニーズ男子にとって、そこは地獄絵と変わりました。
女子は、内野、外野とパスをすばやく回し、逃げ切れなくなった内野の
男子を仕留めていきます。男子は、最初は女子に対し、あまり速いボール
を投げず「男のやさしさ」みたいなのを出していたようでいたが、
あっという間に、内野の数で男子5対女子12、男子3対女子13という
ように劣勢になってしまい。男子もムキになって、本気のボールを投げ
ますが、女子にあたりません。軽くよけられてしまいます。
[おかしい。こんなはずでは。このままでは女の子に負けてしまう。]
[しかも女の子にまったく一方的にやられている。]
[ファンの前であることもまずいが。TVでこんな醜態を見せてしまってはまずい。]
 
たくさんのファンの女の子の黄色い声の渦の中で、
女子に仕留められて、うなだれて外野に出て行く男子。
会心のスローで男子を仕留めて、笑顔で
外野から内野に入っていく女子。
男子はムキになればなるほど、意味のない力んだボールを投げ、すぐに
女子のボールに変わってしまします。
女子は戦術的に相手を追い込む方法を知っているようでした。
 
アイドルということで、カメラは男子の表情を中心におっています。
笑顔があったのは最初だけで、女子に追い込まれていくにつれ、
ひきつった、なんとも言えない情けない表情が映し出されます。
 
また女子の真っ赤な可愛いミニスカートから、ちらちらと見せ付けられる
パンチラが、屈辱感、いたたまれなさとともに、男子の目を突き刺した事でしょう。
 
ファンの女の子の声援も、もちろんジャニーズ男子を応援しているのです
が、あまりの情けなさに「あー」というため息に変わります。だんだん
[女の子に負けるなんて、情けない、だめな男達ね。]
というニュアンスが含まれるように聞こえて、これが屈辱感を助長します。
 
ついに、最後の一人となりました。これが地獄絵のクライマックスでした。
男子は最後の一人、一方勝利を確信した女子は歓喜の笑顔を見せながら、
最後の男子をいたぶります。内野から外野、違う方の外野と、ぽんぽんと
パスを回しながら、男子が疲れるのを待っているようです。
男子はもはや泣きそうな顔で、
必死に逃げまわりますが、やがて疲れて足がもつれてしまいます。
[ああもうだめだ。女の子に負かされる。]
女子の放ったボールが、あっけなく最後の男子を仕留めました。
 
結果は、女子の圧勝でした。時間もあっという間でした。
歓喜の輪をつくる女子。うなだれて、言い訳を言い合う男子。
恒例のパンチラ胴上げが始まりました。男子たちはどんな気持ちで
このパンチラを見たことでしょう。
 
VTRからスタジオに変わって、司会とゲストとの間で、ひとしきり、
「情けないねえ」等と言い合った後、衝撃の事実が明らかになりました。
司会がジャニーズ男子に向かって、
「実はこの後もう一回やったんだよね。それでも、かなわなかったんだよね。」
実はすぐにリターンマッチをやったのです。あまりにも惨めな男子からの
要望でしょうか?それともTVで将来あるジャニーズ若手の醜態を見せる
わけにいかず、差し替えをもくろむTV局、事務所等の意向でしょうか?
[女の子にこんなにぼろ負けする訳がない。これは何かの間違いだ。
最初なめてかかったせいだ。最初から本気でやれば、負ける事はない。]
 
そして、それにも関わらず、2回も女子にぼろ負けした男子。
2回目に負ける瞬間はもっと惨めです。
本気でやってもだめだった。もう言い訳もできない世界。
女子の方が圧倒的に優れている事を認めなければならない世界。
人生観が変わる程の屈辱感に浸った事でしょう。
 
そして、スタジオでの最後のやりとり。
司会「しっかし、なんでこんなに負けちゃったの?試合前は大きな事言ってたじゃない。」
ジャニーズ男子「うるさいなあ。小雨が降ってきて手がすべったんだよ。」
プラネッツ女子「それはどちらも同じ条件じゃない。どうしてそういう
事言うの?それならもう一回やってみる?」
ジャニース男子「...」
 
彼には 、身にしみてわかったはずです。今後何回やってもきっと
この女子チームには、かなわない事を。それを認めす言い訳をしても、
それは実は女子にコテンパンに負かされた恥の上塗りをするだけで、
ただただ屈辱感が増すだけであった事を。



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GIRL BEATS BOY