MIX FIGHT今昔物語
Text by UU
その11「腰元VS武士〜奇譚クラブ短編集B」

 またまた、奇クの短編から、ご紹介します。

昭和29年10月号から、「講談調のマゾの構想〜田村実」
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 マゾヒズム物の講談調で、左記筋書の様なものはどうだろうか。
一、豊満美麗な勇婦(腰元でサディスト)に痩身非力な武士が懸想する。それでその
武士が、その腰元の閨に、しのび込んで手籠めにしようとするが、逆に腰元に仰向け
に押え付けられ、尻の下に組敷かれる。女は男の胸板の真上に馬乗りに跨り肥った太
腿を拡げて、男の両手を膝頭の下に踏みしいて、全身の重味をかけて長い間、組敷く。
二、数日後の夜、湯上りで腰巻き一枚で化粧している腰元に、再び挑むが、又組敷か
れ、両手を逞しい膝の下に踏み押えられ、身動きも出来ず長時間にわたって組敷かれ
る。(中略)両手を後にねじ上げられ亀の子の様に、組敷かれたまま縛られる。更に、
両足首を縛られ、両手、両足を背中で結び合わされてしまう、(中略)武士を縛った
まま廊下に投げだし、そして寝てしまう。
三、(中略)一腰元に組敷かれた武士の噂を聞いた姫が、腰元と武士を呼んで究明す
る。腰元は、武士が淫らなことをするから、こうして組敷き、こうして縛ったと、跨
る真似等をしながら詳細に語ってその武士を辱しめる。武士は、酒に酔っていたから、
組敷かれたので正気では負けぬと言訳する。姫は「では正気で勝負して見や」
 と道場で腰元と武士を組打させる。鉢巻きにたすき、裾をからげた腰元は、見事に
武士を投げ倒し、胸板の上へ馬乗りに跨り、得意の型でグイグイ組敷く。腰元は「さ
あ、動けるか」「降参したか」「降参する迄、こうしてやる、早くベソをかきながら
降参する顔がみたい。」等散々、武士を辱しめ、長い間組敷く、武士はとうとう、豊
満な股の下に潰されて、その腰元に降参する。(中略)姫は、その武士に罰として、
馬になって道場を三回廻れと命じる。(中略)一回も廻らぬ中に武士はへたばってし
まう。(中略)腰元は(中略)「女の座布団になった男の顔を御覧遊ばせ」と笑う。
姫君は「(中略)妾も組敷いてこらしめ度い(中略)」と腰元に云う。(中略)武士
は(中略)姫と腰元の二人に胸と腹の上に跨られたり、腰かけられたり、ひどい目に
会った上やっと許される。
四、姫に放逐された武士は、家宝物を奪って逃げる。姫はそれを知って、その腰元に
馬で追いかけて捕える様命ずる。腰元は(中略)裸馬に跨ってその後を追いかける。
街はずれで直ちに、取り押えた腰元は、例の通り、組敷いて縛り上げ、馬の背に仰向
けにギリギリと縛りつける。そして腰元はその胸の上にドッカリ跨り、武士を鞍代り
にして城に帰る。馬のかける度に、武士は馬の背と、腰元の尻との間に圧迫されて、
息の止るほどの苦しみを味わう。
五、腰元は、姫から武士と、真剣勝負の上、討果す様命じられる。裾を高々とからげ、
その身支度も勇ましく、武士と真剣勝負するが、たちまちに、武士の刀を打ち落とし
投げ倒す。武士は、観念しきれずもがきまわるので、腰元は十六貫余りの全身をもっ
て押えつけて咽喉をめがけて、とどめを刺してしまう。
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 閨は「ねや」。妾は「わらは(わ)」と読みます。(汗)
 次!(笑)
 昭和38年8月号「映画にみるアブ空想の世界、死の谷〜中西均哉」
 「死の谷」という映画に出てくる、金髪の美人女優ヴァージニア・メイヨーの格闘
場面(女対女)を見て、筆者は、こんな夢想をします。
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 太平洋戦争も末期の昭和二十年一月。太平洋上のR島は米軍の空陸の猛攻に次ぐ猛
攻に日本軍は玉砕した。それから二、三ヶ月後(中略)キャンプからやや離れた浜辺
に米軍女性将校五人ばかりがビキニスタイルの儘馬で乗り着けていた。(中略)子供
のようにはしゃぎながら海に砂に、そのグラマーな肉体を躍動させている。(中略)
 折しも彼女達の直ぐ近くの海中を、浮きつ沈みつ近寄ってくる一団があった。彼等
は米軍の猛攻撃に、撃墜された重爆撃機の乗組員の日本人である。しかも良く見ると
未だ大人に成りきっていない少年飛行兵で、十五、六才の少年ばかり五人であった。
(中略)口に銜えた短刀だけが武器と言う状況だ。(中略)しかし彼等は武運の神に
見放されていた。女将校の人に発見されてしまったのである。発見されてはそれ迄と
少年達は口の短刀を握り直し「ワーッ」と喚声を挙げて米軍将校目がけ襲いかかって
行った。(中略)
 女達はそれぞれ側に置いてあった短刀を抜き放つと身近に迫って来た少年達を迎え
討ったのだ。両方とも五人ずつだから最初は各々一騎討の恰好になるわけである。か
くて命を賭けた壮絶な肉弾戦が開始された。(中略)
 初めの内は気合いの鋭かった少年達も女性とはいえ自分よりはるかに上背も体重も
勝る相手に段々押され気味になって来たのだ。やがて一人の少年の繰り出す短刀の右
手はアニタ・エグバークのような逞しい女将校の手にしっかりと握られ、遂に組打ち
に持ち込まれてしまった。次の瞬間には、ドッっとばかりに押し倒され大きな身体の
女の下敷になってもがく哀れな少年の姿があった。
 上位になった女は豊満なお尻で情け容赦なく少年の薄い胸板に跨ると、尚も懸命に
跳返そうと足掻く少年の上半身を動けないようシッカリと押さえつけ、右手の短刀を
振り上げた。「ギャー」断末魔の悲鳴を挙げた少年の咽喉笛には鋭い短刀が深々と突
き刺されていたのである。その儘一掻き、更に一掻き、遂に少年の首は胴から離され
てしまった。
 (中略)又ある少年はソフィア・ローレンのような素晴らしいグラマー将校に組み
つかれ、(中略)柔道で投げ転がそうと懸命に力むけれども殆ど全裸に近い裸体の事、
掴むところもなく、(中略)投げがかかるどころではない。その内反対に体力負けし
てジリジリと押しまくられ出す。やがてドサッとばかりに砂上に転倒した二人は二、
三度上下になりあったが案の定、下に組敷かれてしまったのは少年であった。(中略)
 一方馬乗りに跨ったグラマー将校は(中略)<そうだ。何も急ぐ事はないんだわ。
こんなチビジャップなんか殺そうと思えばいつでも殺せるんだから、それより滅多に
見られないレスリングを拝見しようと>(中略)ゆっくり身体を乗り出し、少年の胸
の上に大きなお尻を納め、その長く逞しい膝の下に同じく少年の両腕をシッカリと踏
み敷いてしまったのである。(中略)
 又ある少年はブリジット・バルドーのようなやや小柄であるが、均整のとれた肉体
の持主の女将校と取組み合いの格闘を演じ、一時は上位になって相手を押さえつけた
が、やはり力の相違、逆に捻じ伏せられてしまう。(中略)最後まで頑張っていた隊
長格の少年とヴァージニヤ・メイヨーのような美人将校との決闘にも終焉が近づいて
いた。少年の必死の健闘も空しく肩や腕をザックリと斬られ今や疲労困憊の極に達し
たところをドッとばかりに突き倒され、その儘組敷かれてしまったのである。のしか
かった美人将校は少年の左腕を右膝で押さえつけ、右腕を左腿で逆にとると短刀の切
先をピッタリ少年の咽喉元に押し当てたのである。
「さあどうだ。他にまだ仲間がいるんだろ、其の場所を言いなさい」
 (中略)自分の尻の下で口惜しそうにもがく哀れな獲物を勝ち誇ったように見下し
ていた彼女の瞳には残忍な光が漂って来た。この儘一気に止めを刺したのでは興なし
と考えた彼女は他の仲間の隠れ場所を白状さすという大義名分のもとに思いきりもて
あそんで己の嗜虐性を満足させようとしたのである。
 (中略)しかし少年はさすが日本軍人の端くれであった。(中略)
「黙れ、敗れたとは言えボクも日本軍人だ。知っていたって白状なんかするものか、
恥をかかさないで早く首を取れ」
 少年の必死の抵抗を恰も鼠を押さえた猫の如く、如何にも心地良げに見下していた
彼女はそれではとばかり左手で少年の髪の毛をムンズと握り動けないように固定させ
ると右手の短刀の切先を大きく喘ぐ少年の咽喉元にチクリと突き刺す。「ウウゥ・・
・」少年は一瞬苦痛の呻きを上げ全身を硬直させた。又チクリと突き刺す。「ウウ痛
ッ・・・」少年は気が遠くなるような激痛に最後の足掻きをみせるが盤石の如く跨っ
ている彼女の重い身体はどうすることも出来ない。
「これでもまだ白状しないか。言う事を聞かないともっと痛い目に会わせるぞ」
 一向に屈服した様子を見せない少年の態度に腹を立てた彼女は肩先を斬り、少年の
口と鼻を両手に塞いで呼吸が出来ないようにしたり、又身体を上下にドシンドシンと
ゆすって凄い重圧を加え、はた又顔面騎乗を楽しんだり散々少年を痛めつけたのであ
る。
 少年はもう完全に精も根も尽き果ててグッタリと組敷かれているが、それでも猶仲
間の隠れ場所を言おうとしない。少年のあまりの頑強な抵抗にさすがに根負けした美
人将校は仲間を見やって美しい顔をほころばして苦笑いした。この上は本部に帰って
器械の力を借りゆっくり時間を掛けて白状させるより仕方ないと考えた彼女達は、そ
れぞれの獲物を馬のつないである場所まで引摺って行くのだった。そして首級は鞍に
しっかりと結びつけられ生きている少年達は鞍を取りはずした馬の背に仰向けにグル
グル巻きに縛りつけられてしまったのである。(以下略)
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 「顔面騎乗を楽しんだ」なんて、のは、良いですねぇ。(笑)

 さてその「顔面騎乗」、という言葉を最初に使ったのは、田沼醜男という人だそう
で・・。その田沼が奇クに連載していた「マゾヒズム天国」から(昭和35年〜40
年頃何月号かは失念)抜粋。
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  児玉明子の大臀筋
 深夜の道に人通りはなかった。男は白痴のような薄笑いを浮かべてついて行った。
長身の児玉明子が歩くにつれてタイトスカートの下で逞しい大臀筋が盛りあがり、ね
じれ、震動するのが透けて見えた。
 男は(中略)明子の大臀筋におずおずと手を伸ばした。児玉明子はキッっとなって
振返った。男まさりの激しい気性が眼から奔り、その胸のあたりまでしか背丈のない
男は卑屈に笑ってみせた。児玉明子は美しい唇をゆがめるとまた歩きだした。男はう
しろから今度はスカートをまくりあげた。逞しい脚線が一瞬露わになる。
「何するよの、いやらしい!」
「さわらしてよ、姐ちゃん!一度でいいからよウ・・」(中略)
 途端に、彼女の槍のような膝小僧が男の顎を蹴とばし男は蛙のようにひっくり返っ
た。
「やったな姐ちゃん、そう来りゃこっちだって」
 男はわめきながら彼女の腰に抱きつきスカートの中に頭を突っこもうとした。児玉
明子はその耳をつかんで力まかせに引っぱり、男の頬に激しい平手打を食わせた。夜
目にも白い児玉明子の手が蝶のように舞って男の頬に立て続けに小気味よい音をたて
た。男は痴呆のように突立っていた。口の端から涎れをたらしながらうめいた。
「さわらしてよ、一度でいいからよウ」
「助平じじい!気狂い!」
 今度はアッパ・カットが男を地面に打倒した。男は横たわったまま、(中略)児玉
明子の長身をみつめていた。その手がおずおずと彼女のハイヒールをまさぐった。
「男らしくしたらどうなのよ、女の腐ったのみたい。弱い癖して」
「勘忍・・勘忍してくれよウ・・いい脚、いいヒップ・・さわらしてよウ・・一度で
いいからよウ・・」
「変態!助平じじい!」
 児玉明子の若い強靱な脚が男の腹をいやというほど蹴りつけた。蹴って蹴って蹴り
まくった。男は法悦のうめきをあげながら動こうともしなかった。
 やがて一息ついた児玉明子が外国タバコを捨てたとき、血だらけの男が手を伸ばし
た。咄嗟にハイヒールの踵がその手を踏んずけた。発育しきった全体重をかけて踏み
にじった。男の手の甲が音をたてて砕け、男はうっとりと涎れをたらしながら、スラ
リと立つ麗人を見上げた。児玉明子が立去るのを男は半分意識を失いかけて見送った。
児玉明子の長身が歩くにつれてタイト・スカートの下で逞しい大臀筋が盛りあがりね
じれ震動した。
                                 >>>>>
 児玉明子は、日本人としては始めてミス・ユニバースの栄冠に輝いた女性で、この
当時もっともフェロモンを撒き散らしていたようです(笑)。
 今だったら、「藤原紀香」、とでもしておいた方が良いかも知れませんね(笑)。

 田沼醜男が「風俗奇譚」に掲載したミックスファイトものについても、また章を改
めてご紹介する予定です。

>>読んでみたい人へ
 例によって「風俗資料館」をお勧めします。
 また、地方在住で、「資料館」への訪問が現実的に困難な方で、「クォンタムリー
プ」や「MX今昔」「純子」の感想やご意見等を送ってくださった方に限り、ご希望
のもの(主に風俗雑誌のもの。普通の書籍で絶版になってないものについては、著作
権の関係がありますので、お断りする場合があります)のコピーについて、随時相談
に応じます。
 貴重な資料をこのまま埋もれさせたくない、と願う所以からです。何度も言います
が、東京近辺の方は、「風俗資料館」へ、お立ち寄りください。

 その11は、「奇ク短編集B」でした。
 (本文中敬称略)

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