MIX FIGHT今昔物語
Text by UU
その10「(奇譚クラブ短編集A)奈々子VS俊介」


 さて、今回もまた奇譚クラブの短編から、ご紹介します。
 特に系統立てることもありませんから、出来るだけ能書き抜きで(笑)、出来るだ
け大量に、羅列します。
 
 まず、初期の奇クにて、ずっと扉絵などを描いていた、滝れいこの描いた「マゾヒ
ズム画廊」の解説文の中から、ご紹介します。
 これは昭和33年頃、十枚一組1200円(当時)にて、分譲されたもののようで
すが、さすがにこれは「風俗資料館」にても、見つけられません。従って、私も絵の
方は見たことがありません。
 しかし、その解説文に、私は、恐ろしく魅了され、今となっては、絵の方はどうで
も良くなった次第です。(笑)
 解説文を抜粋して、ご紹介しましょう。
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 責められる男性、虐められる男性十態十場面
 待望久しきマゾヒズムの画集、(中略)特に滝れいこ氏を煩して、総て女性より責
められた男性というモチーフにより、十葉の傑作を揮毫して頂きました。(中略)他
ではとても手に入らない素晴らしいマゾ画集です。
<解説>(中略)
  二、黒帯と雪の足
 俊介は、柔道二段の猛者、今迄どんな強敵にもヒケを取らなかった菅沼道場四天王
の一人である。しかし、その彼にも、苦手があったのだ。それは師菅沼八段の一人娘
奈々子嬢である。彼女は十八歳、親譲りの男勝りから女ながらも稽古着姿で道場に姿
を現すのだった。俊介は彼女の雪のように白い足を見る度に眼がくらくらとして、い
つも彼女のよい弄り者になるのだった。今日も又、彼女のぽってりと肉づいた白い足
で口を押えられ、左手を逆にとられて「うううゝ」と呻めきながら美女の足下に陶酔
する自分を意識するのであった。彼女の足の指や足の裏を舐めさせて貰いたい衝動に
たえながら。
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 柔道の道場で、十八歳の美女の弄り者になる・・。なんつぅ素晴らしいシチュエー
ションで、ありましょうか。
 これに派生したM小説を、何本も書いては、ボツにしています。饒舌な文章は、た
った一言の簡潔な文に劣る、ということ・・、のようです。
 「七、従姉と中学生」の解説文も、なかなか良いです。 
 
 次は、奇ク掲載文ではないのですが、奇クにおいて度々紹介されていますので、苦
労して捜し出したものです。
 風俗科学、昭和28年(何月号かは失念)から 「馬乗られ人生記〜藤崎洋美」
 幼少の頃より、女性に馬乗りにされたいという欲望を持つ洋美は、中等学校時代に
病気を患い、卒業してから、鎌倉の叔母の家で静養することになる。
 叔母の家には、二人の娘があって、姉、美津子の方は、洋美より二つ年上の21歳、
妹、照子の方は、18歳。二人とも近所で評判の美人であった。
 洋美は、お転婆な照子に馬乗りにされることを画策し、学校をサボって帰ってきた
照子と二人ッきりになったところで、計画を実行します。
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 私はそっと立ち上がると、照子の背後に行き、ワアッと彼女を二階から落とす真似
をした。
「キヤア」
 照子は大げさに悲鳴をあげたが、(中略)
「よくもやったわね、覚えてろ」
 と私を追いかけて来た。(中略)私は部屋中を逃げながら、わざとつまずいた振り
をして、俯伏せに転がった。その瞬間、私はうっとりするほどの悦びに酔い痴れたの
である。と云うのは、照子が私の背中に。
「さあ、つかまえたわよ」
 とどっかと馬のりに跨ったからである。
 私はわざとはね返す振りをすると、彼女は私の首すじを両手でおさえて、ぎゅうぎ
ゅうおしつけて来る。(中略)
「ごめん、ごめん、僕、照ちゃんのお馬になって、この部屋を十回回るから許してく
れよ」
 私がそう云うと照子は、
「いいわ、それなら堪忍してあげる」
 スカートをひるがえして、私の背から立上がった。
 それからというものは、照子は私を二階にあげては、
「洋ちゃんは運動しないと駄目よ。私が鍛えてあげる」
 と云っては、私を馬にして部屋中を這い廻らせた。私は五、六回廻ると照子を背に
したまま潰れてしまって、その度に背からおしつける照子の壓力に酔っていた。
(中略)
「洋ちゃん、お馬になるのよ」
 ある日、照子が私に突然云ったが、私は狼狽してしまった。と云うのは側に姉の美
津子が居た時だったからである。
「嫌だよ、照ちゃんのお馬になるなんて」
 としどろもどろである。(中略)あわてた時のその心理と同じものであった。
「あーら、何時も私のお馬になるくせに、今日は抗うのね。いいわよ。腕ずくでお馬
にするから」
 照子はキャッキャッと笑いながら、私に飛びかかって来たので、私はその手を払い
のけようとしたが、急に体当りで来た彼女の力に押し倒されてしまうと、照子はすか
さず私のお腹の上に馬のりに跨ってしまった。
「照ちゃん、嫌な人ね」
 美津子が笑いながら云ったが、私は恥づかしさで、はね返そうとしたが、ここに大
きな誤差があった。それというのも何時もはわざと照子に組み敷かれていて、本気を
出せば私は勝てると云う心がまえがあった。ところが病身の私には、今照子の身体を
男の力でもはね返す事が出来なかったのである。
 私はあせって手、足をふんばったが、照子は私の胸の上に馬乗りになり、両膝で私
の両手を踏みしいてしまった。
「照ちゃん、おりてあげなさいよ。洋ちゃんは病人よ」
 美津子が見かねて云ってくれたが、
「あーら、私、こうして運動させてるのよ。今日はお馬にならないから一寸こらしめ
るのよ」
 照子は私の顔を見下して笑っているので、仕方なく私は、
「フン、わざと負けてやっているんだ。照ちゃんは女だからね」と云うと、
「あんな負け惜しみ云ってるわ。じゃ起きてごらん」
 照子はそう云ってぐいぐいとおしつける。私は(中略)口だけで負け惜しみを云う
より他はなかった。
「いいわよ、うんと苛めるから。泣いたって許さないから」
 照子はそう云うと、私の顔の上にどっしりとお尻をすえて跨ってしまった。
「まあ、照ちゃん、男の人の顔にのるものじゃないわよ。およしなさいったら」
 (中略)暫くしてやっと許してくれた照子は、
「ほほほ、お尻に敷かれてしまって洋ちゃんの眼ったら真赤よ」
 と面白そうに笑っていた。(一部新仮名遣い)
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 ちなみに・・。照子は空爆のために死んでしまうそうで・・。時代ですなぁ・・。
 
 次は、昭和31年5月の奇譚クラブから、春木俊野「姉とその弟」。
 原文は、ちと長いので、昭和34年7月号の鞍良人「馬化白書その二」の紹介文か
ら、抜粋します。俊野と、四つ年上の姉、明美の物語です。
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 小学五年だった春木俊野氏が留守番している時、隣家の秀子と格闘するが、俊野が
仰向けにされて、その胸の上に秀子が「だめだめもがいたって起きれないわよ。さあ、
これでもかこれでもか」と勝ち誇った様に馬乗りになってしまう。明美が外から襖を
あけて入ってきた時には、真赤になった俊野の顔は、小麦色に陽灼けした健康そうな
秀子の両脚の間にピッタリと挟まれています。秀子の両脚は俊野の両腕をしっかりと
踏み敷いて、お尻を胸の上に下ろしています。「秀チャンは女の子だから、わざと負
けてやったんだよ」と俊野が弁解すると、「あらあんな事いって、さっきから起きれ
ないくせに。さア、これでもか、これでもか」と秀子は、なおもお尻を揺って押さえ
つけます。(中略)
 (中略)今度は明美に組敷かれてしまう。鍛えてやるとばかりに俊野の胸の上にド
ウと跨っている明美は水着一枚の姿です。すこやかに伸びた女学校三年の姉の肢体の
圧力に、敷かれた俊野は、とうとう苦しさのあまり降参の悲鳴を上げる。それ以後は、
うっかり姉の見ている所で秀子に負けられなくなったのだが、折悪しく一度、またし
ても秀子にギュウギュウな目にあわされている所を見付けられてしまいます。その夜、
姉の部屋に呼びつけられた俊野は、再び押し倒されてお仕置きを受ける。弟の胸の上
に馬乗りになった明美は、膝で相手の両手を踏み敷いたまま、無茶苦茶に頬を撲りつ
づけます。弟が泣こうがわめこうが、(中略)打ち止みません。(中略)
 それから二年(中略)、戦争も熾烈の度を加えて、めったに姉と組討ちする機会も
ないままでいたが、或る日曜日の事、ズボン姿も凛々しい姉と久しぶりに二階で組討
ちを始めます。その頃では、もう負けない自信があったのですが、最初からあっけな
く勝ってもと思ったのでしょう。一先ず屈服するかの様な態勢を取るや、姉は得たり
とばかり背後から組ついて来た。(中略)しまった!と思いますが、姉の身体は身動
きも出来ない程にしっかりと俊野を組敷いていますから、どうし様もありません。
「どうだ、降参か?」
「ううん、まだまだ」
「でも降参したって、今日は許さないわよ(中略)」
 と姉は絶対優位です。俊野は時々お尻をもちあげられるぐらいがやっとです。
(中略)「姉さんなんか女じゃない」と云われて怒った明美は、面倒とばかり弟の両
手を逆手に捻じり上げてしまいます。
「いた・・いたァい。御免ナサイ御免ナサイ。手が折れる。おかァさん」
 と、あまりの痛さに遂に悲鳴をあげてしまいます。お母さんが
「明美、もう許しておやり(中略)」
 と取りなしてくれて、やっとのことで放してもらいます。(一部改変)
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 少し新しくなって(笑)、昭和42年の奇譚クラブ、「マソ年代記〜姫島痴人」
 小学一年の「私」と、二つ年上の従姉、英子(ひでこ)。
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 「英ちゃん、やっつけっこしようよ」
 「どうするの?やっつけっこって?」
 (中略)相手を自分の陣地にひきずり込んで押さえつけた方が勝ちというのである。
(中略)そんな遊びをしたこと(中略)もないので、恐らくこれも私の英子に屈服す
るための遊びとして、自ら案出したものであったらしい。
 英子は喜んで相手になって呉れた。勝負はきまっている。然し私は懸命に抵抗する
ふりをした。英子に捻じ伏せられ襟首をつかまれ或は足を持って引きずられ、とうと
う彼女の陣地内に運ばれ、そこで馬乗りに組み敷かれて、「さ、降参か」ときつく言
われ、私は、「何んでも言うことをきくから、許してくれ降参だ」と叫ぶ。彼女は、
「手をついて謝るか」と私の願ってもないお仕置きを条件に持ち出してきた。
 (中略)傲然として椅子に腰掛ける彼女の前に、私は額を畳にすりつけて土下座を
繰り返えし、或は又彼女の股の下をくぐらせられるのだった。(中略)
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 続編。大人になった「私」は、一人の女子大生と懇意になります。
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 (中略)普段はしとやかな女性なのだが、一面茶目でお転婆で豊満な体格の私好み
の愛らしい女性なのである。
 私は始めて彼女を見た時、何かこの人ならという直感を持ったのだった。私は彼女
の中に潜在するサド的なものを引き出して成長させようと試みた。最初はまず指角力
から始めた。私はよく負けてみせた。その中に彼女の闘争心と、この人になら何をし
ても勝てるという優越心を植付けるのに成功した。
 次は腕角力。(中略)
 或る時、「葉子さん、腕角力しようか(中略)」と言って挑戦した。初めの中、渋
っていた彼女も、漸く承知して相手になって呉れた。(中略)全力を出して、どうや
ら互角以上に行けるかどうかという程度で、暫くこらえて力尽きたように彼女に捻じ
伏せられても、全然わざとらしいこともなかった。
 (中略)近頃では戯れに相撲だとかレスリングだとか言っては、私は彼女に倒され、
馬乗りに組み敷かれるのに成功した。(中略)中でもレスリング遊びで、紺のズロー
スにシャツといういでたちの彼女に投げ倒され、寝業に入って彼女の真っ白で豊満な
太腿に私の首を挟みつけられ、「さあ、どうだ」と口許にイタズラな微笑を浮かべな
がら、グイグイ締め上げられる時、私はマゾヒストに生れついた幸福の絶頂を極めた
ように感じるのだった。
 私の首にからみつくムッチリとした彼女の太股、目の前の紺のズロース。私を見下
ろす彼女のほほ笑み、彼女の体温、体臭、私はこのまま締め殺されたいと思う。
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 お幸せに・・。(笑) 昔は、「マソヒスム」と、言う人もいたようです。
 
 昭和38年7月号、奇クに、「こんな、絵巻を作ってみたら、どうでしょうか?」
という投稿。「悦虐いろは絵巻〜佐々木ツトム」
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  (へ)下手な考え休むに似たり(五枚)
 国際秘密プロレス・ショー。
 白人女対日本娘。(中略) 
  (と)年寄りの冷水(四枚)
 日本娘の劣性に、憤懣やるかたなき見物客より敢然飛び入りの挑戦は目鼻立ちこそ
整って居るが白髪まじりの初老の男。(一枚)
 しかし相手は大兵の専門レスラー。若い頃とった田舎相撲の大関で腕におぼえのあ
るらしいこの男も、忽ち組しかれて苦境に陥る。(一枚)
 女は馬のりになり淫虐な微笑をうかべつつ老人の頭部に尻をおしつけ(中略)死な
ない程度に、秘密ショー特有な強烈な刺激を、男に加えんとする。(一枚)
 男は気息えんえん、女はかさにかかって、ますます露骨に責めつける。(一枚)
(中略)
  (そ)宋襄の仁 (数枚)
 (中略)無用のあわれみを、宋襄の仁という(中略)。
 秘密ショー、男女プロレスに、始めて出場した男、相手は大柄でも所詮は女、美貌
の苦悶に歪むのに、憐れみを感じ、手加減しいしい戦を進む。がしかし相手は女レス
ラー、得たりとつけこまれ、果ては忽ち苦境に陥る。(一枚)残忍な女レスラーは容
しゃなく、責め立て大胆露骨に男を辱しめる。(一枚)
 男はのがれんともがくが、女はそうはさせじと男をぶかっこうな形に床に這わせ、
上にのりかかり、相手の急所に触手をのばして苦しめる。(一枚)
 秘密ショー特有の残虐絵巻、男責めのシーン展開す。(一枚)
 最後のとどめをさすように、女は男の顔の上に大きなお尻をのしかけ重圧を加える。
(一枚)
>>>>>
 こんなカルタがあったら凄い・・。(笑)
 
 だいぶ、長くなりましたので、今回は、この辺にしておきます。
 
>>読んでみたい人へ
 最新号の「家畜人10号」に、「風俗資料館」の紹介が載っています。行かれる場
合は、参考にされると良い、と、思います。
 風俗科学も、「風俗資料館」にあります。
 
 次回も、奇ク短編集を予定しています。まだまだ大量にありますので、出来るだけ
早々にお届けします。
 
 その十は、「奇ク短編集A」でした。
 
(本文中敬称略) 

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