僕が女の子に負けた時
Text by mampepper
柔道部編/PART-1

(この小説は、私自身の実体験をもとにして創作したフィクションです。
したがって、登場人物にはそれぞれモデルになった人がいますが、
描き起こすにあたってかなり実在のものとは異なるエピソードを挿入しました。
時代背景は、1987年頃。場所は、ある地方の小都市と思ってください。
つたない文章ですが、ご一読いただければ幸いです。)


ウチの女子部に新しいコーチが来る。
まもるがそう知らされたのは、5月のある日の午後のことだった。
まもるは、中学三年生。柔道部のキャプテンになったばかりだ。
2年前から、柔道部は男子と女子が分かれて練習していた。
ただ、女子部には専任のコーチがいないので、男子部のコーチや部長先生、
それにキャプテンが交代で練習を見ることになっていたのである。
「よかった、これで女子部にもやっと専任のコーチがくるんすね」
まもるは素直にそう言った。
「そうだ。オマエも女子相手に、何かとやりにくかっただろ?」
「…そうッすね、特に歓迎会はね。オレも辛くて」

「歓迎会」というのは、つまり、この部の伝統行事になっている、ある練習のことだ。
つまり、寝技の練習の時に、新入部員を三年生が絞めおとすのである。
もっとも、幼稚園の時から柔道をやっているせいか、
まもるはこの儀式の犠牲にはならずにすんだ。
逆に、先輩を寝技で押さえ込んでしまって「一本」をとり、一年生の時から
レギュラーの座を確保していたのである。
160センチ、56キロ、柔道をやるにしては小柄な部類のまもるだが、
三年になったときも、男子部員全員が主将に推してくれた。
ついこの間までランドセルをしょってた連中を絞めおとすのは、正直なところ、
まもるには抵抗があった。
ましてや、女子となればなおさらだ。最近は女子柔道が盛んで、新入部員など
ヘタをしたら男子より女子の方が人数が多いけれども、この「歓迎会」には、
みんなギョッとする。一度落とされて、そのまま辞めてしまうのも少なくない。
まもるも、昨日の練習で女子部員を3人、絞め落としていた。
その中には、中学一年とは思えないほど胸の膨らんだ、麻理という娘もいて、
ウブなまもるは顔を真っ赤にしながら彼女の胸に手をあて、活を入れたのだった。

「よかった、もうあんな思いはしなくてすむ……」

まもるは、コーチに挨拶しようと女子部の道場に足を踏み入れた。
練習はもう始まっていた。
入り口のすぐ近くに、長い髪をポニーテールにした、大柄な女の人が立っている。
大きな瞳、ごくうっすらと塗った口紅が妙になまめかしい。
(きれいなヒトだな…)
まもるはそう思った。
「キミが主将のまもるクンね。●●(仮名)奈美です。よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
奈美と並んでみると、10センチ以上の身長差があった。胸や太股には、鍛え抜かれた感じの
筋肉がついている。柔道衣の下に着たTシャツ越しからでも、かなりの巨乳であることがわかった。
「キミ、相手しなさい」
奈美はいきなり言った。
「え…?」
「キミ、主将なんでしょ。私もコーチとしてここに来たんだから、
 君たちのレベルを知っておく必要があるわ」
「え…でも…」
「…手加減してあげるから、安心してかかってきなさい」
挑発的な言葉に、思わずムッとするまもる。
「それとも、キミは女なんて相手にしないほど強いのかしら?」
(なんなんだ、このヒトは。いきなり会ったばかりなのに)
「早くかかってきなさい。アタシに勝ったら、ごぼうびあげるから」
「わかりました。お願いします」
着替えのために更衣室へ向かったまもるの後ろ姿を見て、奈美の眼がキラッと光った。
それは、獲物をみつけたケモノの眼だった。

女子部員、十数名が見守るなかで、まもるVS奈美のケイコが始まった。

「頑張って〜〜、コーチ〜!」
「ギタギタに投げ飛ばしちゃってぇ〜〜!」
普段、まもるにさんざんしごかれている女子部員から、黄色い声援がとんだ。
二人は試合場をぐるぐる周りながら、組手争いになった。
(コーチったって、所詮は女…力づくで振り回してやる!)
まもるの右腕が、奈美の襟をつかんだ。
(つかまえた!)
まもるは、渾身の力で奈美をぐいっと引き寄せた。
(やった!)
奈美の顔が、激突するくらいまもるの鼻先に接近した。
ニコッ。
(え?)
その時、奈美は美しく微笑んだ。

次の瞬間、畳にたたきつけられていたのは、まもるの方だった。

ズバァァァァンンンン!

一瞬、まもるは、自分がどういう状態におかれているのかわからなかった。
奈美の鋭い背負い投げに、一回転したのである。痛みすら感じない、完璧な投げだった。
奈美はポニーテールを束ねた青いリボンを両手で直しながら、
「ハイ、一本」
といって、誇らしげにまもるを見下ろした。
周囲の女子部員から、一斉に歓声があがった。

「今のが背負い投げよ」
(うそだろ……?)
ようやく上体を起こしたまもるの顔を覗き込んで、奈美はいたずらっぽく笑った。
呆然としたまもるの鼻先に顔を近付けて、そっとささやく。
「こんなもんなのぉ? 主将さん。ふだん女子をさんざん投げ飛ばしたり、絞め落としたりしてる
 凄く強い主将だって聞いてたけど」
「…なっ!」
まもるは、顔を真っ赤にして立ち上がり、素早く身構えた。
年上とはいえ、女の子に一瞬のうちに投げられた!
しかも、満座の女子部員のなかで!
堪え難い屈辱だった。

「もう一度、お願いします!」
言うが早いか、まもるは奈美に向かって突進した。

しかしまた次の瞬間、まもるは奈美の鮮やかな払い腰で宙に舞った。
そのたびに、女子部員は奈美に喝采を叫んだ。「コーチ」コールまで起こっている。
「ハイ、今のは払い腰ね」
口元にごう慢な笑みを浮かべる奈美。

「く…っ!もう一丁!」

柔道を始めて十年近く、まもるは未だかつてこんなに簡単に投げられたことはなかった。
「チクショォォォォ!」
まもるは、また奈美に向かって突進した。もうなりふり構ってはいられない。

しかし、何度かかっていっても、結果は同じだった…。
(そんなバカな!)
まもるは、心の中で叫んだ。
しかも、奈美は毎回、技の種類を変え、その名前を女子部員に解説するのである。
ぶざまに投げられるまもるの姿に、女子部員たちの嘲笑が追い討ちをかける。
まもるが畳に容赦なく叩きつけられるたびに、歓声が沸き起こる。
まもるは完全に、奈美の実験台だった。
何回も向かっていき、そのたびに投げ飛ばされるまもる。
まもるの柔道衣はすっかりはだけ、疲労と苦痛で全身は汗まみれだった。
最初のうちはよかった勢いもすっかり衰え、足下がふらついている。
一方の奈美は、たまに髪を直すくらいで、汗ひとつかいていない。
「どう? 主将がこの程度なんて、みんなももっと練習しないとね」
奈美が女子部員を一瞥すると、彼女たちはわざとらしく声を揃えて「ハーイ」と答えた。
「く、くそ…っ、まだまだっ!」
「まだやるの?」
「俺はまだ負けてないぞ!」
「あらそう。でもキミ、何回“一本”取られたのかしら?」
「……ぐッ!……」

ヨレヨレになりながら、何度めかの<勝負>を、まもるが挑んだ。

「キミ、頑張るわね。でも、いいコト教えておげる」
可愛くウィンクした奈美は、凄い力でグッとまもるを引き寄せた。
「根性だけじゃ、勝てないわよ」
電光石火の内股が炸裂した。
「ふっ……!うんぐッ!」
その瞬間、まもるは股間に激痛★を感じた。
勢いよくはねあげた奈美の美脚が、まもるの睾丸を一撃したのである。
「ううぅぅぅぅンンンッゥッゥッ………」
あまりの衝撃に受け身もとれず、まもるは青畳に横倒しになった。
全身からドッと脂汗が噴き出す。
下半身がピクピクと細かくケイレンする。
口元からあふれ出したヨダレが、畳を濡らしていた。
「あらっ、ゴメーン!」
奈美はアッケラカンと言った。
「だってぇ、キミの股下って思った以上に短いんだもン。
 いつもキミより背の高い男子とケイコしてるもんだからぁ、加減がわからなかったのよ〓」
爆笑する女子部員たち。
堪え難い屈辱。
しかし、今は股間の激痛がすべてにまさっていた…。

(PART-2に続く)

[←prev] [↑index] [⇒next]   [今週の新着]
mampepperさんに励ましのお便りを出そう! Mampepper@aol.com

GIRL BEATS BOY
Home | index | guest | Links | bbs | info.