「女子と本気勝負!」
Text by 薮平
「格闘2」

7、8年前と思いますが、渋谷に不思議な店がありました。
その店を見つけたのは、スポーツ紙を何気なくめくっている時でした。
店の名前は「スポーツ何とか」をうたってました。
内容は、女性インストラクターと対決し、女性の格闘技攻撃に耐えて
耐えて、体を鍛える(!?)っていう不思議なコンセプトでした。
強い女性との対決に飢える私は、胸をときめかせて出かけました。
確か7〜8000円を払って、マンションの中に入るとマットが敷いて
あります。そしてインストラクターの女性とご対面です。
女性のコスチュームはTシャツ&短いスパッツ姿です。
最初に準備運動と称して、柔軟体操です。
女性に乗られたり、絡んだりで、彼女の体が密着し、妙な気分です。
そして対戦開始。ルールは、男は一切攻めてはいけません。
5分間×3ラウンド、女性の攻撃から逃げまわります。
女性の攻撃に耐え切れなくなったらギブアップです。
 最初の女性は、そんなに強いという訳ではなく、
それでも、一方的に蹴り、パンチやプロレス技で責められたので、
確か1回はたまらずギブアップしました。
 
この女性に聞いた話では、格闘技好きのオーナー(男性)が、格闘技
経験者や興味のある女の子を集め、結構、技の特訓をしたそうです。
 
性的サービスはなく、ただ攻められるという、今から思えば、格闘マゾ
以外に客がおるんかいな?って店でしたが、私は、はまりました。
 
2回目からは、一番強い人をあててもらいました。Tさんという名前で
(たぶん偽名でしょうが)、たぶん20歳そこそこ。
身長157、8位のスタイルの良い肢体にもかかわらず、本格的に格闘技
を知っているようで、動きが速く、逃げても逃げても、5分間で2、3回
はギブアップさせられました。蹴り、パンチ、そして豊富な関節技とも
すばらしく、私は1回で大ファンになりました。
[この女性には、男が攻めないルールでなく、本気でかかっていっても
きっと負かされるのでは]
 
数回通ったある日、私が開店時間の少し前に着いて待っていると、彼女が
店を開けにやってきました。マットの部屋に通されて、彼女の準備を待っている間、
いつも受付をしているオーナーがいないのに気がつきました。
つまり、まだ店には彼女と私だけです。
 
断られてもともとで、彼女に切り出してみました。
「店のルール違反と思うけど、男も攻めていいルールで、真剣勝負がしたい。」
意外にも彼女は、迷うことなくOKしました。
[よし、本気でやってどのくらい強いのか、試してみよう。]
 
結果は、攻めてはいけないルールの時とあまり変わりませんでした。
立っている時には、顔への彼女のジャブで私の腕が上がったところに、
ボディーへの膝蹴りやパンチ。私のバランスが崩れたところで、
足をからめながら全体重をかける方法で、倒されました。
[なんと女の子に寝技に持ち込まれるなんて]
そして、彼女の関節技、絞め技への動きの速いこと。
しかも毎回違う技で決められるほど攻撃が多彩です。
 
決まってしまうと、相手は女性の力のはずなのに、どう動いても
はずれません。そして、この関節技の痛いこと、痛いこと。
決められてしまった後は、5秒間と耐えられません。たまらずギブアップです。
女性の関節技にギブアップする瞬間の、惨めさはななんとも
言えません。彼女のきれいな腕、スパッツの足が私の体に食い込み、
女性の良い香りにつつまれます。しかも、体が密着していて、
「女性に犯されている」被虐感のピークです。
 
寝た状態では、次々と多彩な関節技が来るので、それをさけるため、
立ち上がるのですが、すぐに足をかけられ、倒されてしまいます。
自称スポーツマンの私が情けない事ですが、彼女の鋭い動きから逃げ
回るのに体力を消耗していまい、後半は、体力的にも圧倒されるように
なってしましました。そして腕ひしぎ十字固め、チョークスリーパー、
アキレス腱固め、股裂きまで決められてしまい、5分×3ラウンドで、
10回以上のギブアップを奪われました。
彼女は、自分のいろんな技を、本気でかかってくる男に試す事に喜びを
覚えているような、得意げな笑顔でした。
 
一方、私の攻撃は、結局前半に、蹴りのようなものを2、3回いれただけで、
しかもワンパターンの攻撃で、1回は読まれて逆に足を取られて関節決められ、
ギブアップしてしまいました。
そして、後半は一方的にやられてしましました。
 
私は、
この女の子に、ハンデなし、同じ条件でありながら、結局
赤子の手をひねるように、負かされてしましました。
圧倒されていく過程、疲れていく自分、追い込まれたギブアップの瞬間は
屈辱の極みです。しかし、それにもまして、関節技でギブアップを強いら
れた事が、その後の私の人生において、長く屈辱の想いを残しました。
 
だって、これがもしこの女の子との真剣勝負だったら、どちらかが倒れるまで
終わらないような死闘だったら、ギブアップしても攻撃が止まない訳ですから、
私は彼女の関節技によって両腕や足首の骨を折られて、
泣きながら地面を這いずり回ったんですよ。
 
その後、若かった私は性的サービスを求めて、SMクラブにくら替えして
しまいましたが、さすがに今はこの店ないでしょうね。

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